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プロローグ
「やぁってきたぜ、ゆ―えんちー!」
来生秋哉はバスから降りるなり、元気よく駆け出して行った。
「おら早く来いよトーイ」
「待ってよ秋兄」
秋哉に呼ばれて、冬依も後について全力疾走していく。
「キャー! 行ったわ」
「追いかけるわよ、イケメンくん」
そしてその後ろを、バスから先に降りた女の子たちが追いかける。
今日は来生一家勢ぞろいで、絶叫マシンで有名な遊園地『アイランドパーク』に来ていた。
例にも漏れず長兄の来生春一の提案であり、これも何度も言うが、来生家の弟たちは長兄の命令にはけして逆らわない。
バスから降りるなり、女の子たちを引き連れて、あっという間に姿が見えなくなってしまった秋哉と冬依に、
「元気だなあ、秋哉くんたち」
風にあおられた帽子をかぶり直しながら、雨山鈴音はのんびりとバスのステップに足をかけた。
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