第1章

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 小夜のヒステリーが日に日に増えていったのは、コハルが産まれて睡眠不足になってからだった。最初は夜中の授乳で寝れず、今はたっちの練習をしたり、掴まり歩きをするコハルにヒヤヒヤして、俺に何でも当たり散らすようになった。  些細な事から別れたいという大事まで、何から何まで口に出して言う。夜泣きにも悩まされているらしく、俺も一緒に起きているのだが、苛々は治まらないらしい。  俺との結婚はまだ二年目。  三年も経っていなくて、俺は人生を捨てたなと思いながら風呂に入ることが増えた。思えば小夜と一緒に入ることもなくなったし、セックスもない。いや、したくないという方が少し正しいかもしれない。  気が付くとコハルの話をする小夜にそういう感情を抱けという方が難しい。  俺はまるで金を家に運んでくるだけの、蟻みたいなやつだ。  初めて住んでいたボロアパートの時は何でも新鮮で懐かしい。
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