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「今の俺の心力に反応したのは一人か」
シンバさんは杏奈の方をチラッと見る。
「反応するのはいいんだけど、自分に攻撃が来る可能性も考えて身を守る準備か、反撃の用意を整えとけよ」
「は、はい」
杏奈は、シンバさんの言葉に珍しく戸惑いながら返事をする。
「何かしたって気づいただけじゃ、ほとんど意味ないのと一緒だぞ。能力を持っていて0.5秒以内に発動出来るなら話は別だが、そんなに速く出来る奴なんて滅多にいないからな。生身から命力を使って身を守れよ。それからお前!」
今度は、仁に鋭い視線が向けられる。
「お前は、俺が何かしたって気付いたわけじゃない。ただ、万が一の事態に備えて能力を発動する準備を整えた」
シンバさんはズカズカと仁に歩み寄る。
「だけどなあ、わかりやすいんだよ。能力を発動させる雰囲気が丸わかり。それと、常に警戒してたら、集中力が持たないだろ?全てを警戒するより、相手の行動を読んだ方がいいだろ。そんなに全てを疑ってたら友達いなくなっちゃうよ?」
圧倒的な気迫に仁も飲まれている。
「あとの二人も同じ様なもんだな」
そう言い放つと、シンバさんはどかっと音を立てて再び椅子に座った。
「そんなんじゃ、オリンポス周辺を出歩くだけで命が幾つあっても足りないぞ」
何故か、シンバさんはふてくされている様な表情をしながら言った。
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