戦争再開

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「なっ」 意識を集中させた瞬間、ミケランジェロの体が消失する。 今度は視線と重ならない。 何もない空間が凝縮し始める。 あたしは気配を感じて上を見た。 「あはは」 ミケランジェロは宙に浮いていた。 両足の膝から下辺りが、水につけているかのように歪んで漂っている。 何の能力だ? あたしは地を蹴り、一瞬でミケランジェロとの距離を詰めた。 ミケランジェロは余裕を窺える態度で、距離を詰めてきたあたしと向き合う。 宙に浮かぶ二人。 あたしは、すかさず奴の顎を狙い右足を蹴りあげた。 蹴りは奴に命中するが、肝心の手応えを感じない。 顎にヒットした蹴りは、すっと空振りするようにすり抜けていく。 実体がない? 「僕は優秀な能力しか持たない。能力名。ゴーストボディ。ほら、体を幽霊にしちゃうんだ」 蹴り上げた足を引き、あたしは体勢を立て直しながら右腕に力を入れて拳を放った。 拳はまたするりと空振りする。 こんなインチキな能力ありかよ。 直後、奴があたしと同じく右拳を構える。 奴から放たれる右ストレート。 それはあたしの顔面に直撃する。 殴るときだけ実体がある……? ぐちゃ。体の中で聞こえる鈍い音と同時に視界が吹き飛ぶ。 「硫酸かけちゃうぞ」 沈みゆくあたしを見下ろしながら、奴は笑っていた。
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