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「あ……いや……」
融資ってことは、この人は金貸しの仕事をしている人なのか?
1200万B。そんな大金を借りて、どうするつもりなんだ?
これが親切な男の人の秘策?
俺を連れてきたスーツの男の人は、優しげに語りかけてきた。
「大丈夫だよ。先にピノキオクエストをクリアして、町に戻ってきた後は私がバックアップしながらすぐに大金を稼いで返済できるから」
これは……。
かなり雲行きが怪しいことが俺でもわかる……。
こんな大金を簡単に返せるはずがない……。
「1200万B。かなりの大金だけど、君が他に借り入れがなくて、体が健康な状態なら融資は可能だよ」
コンピューターキャラクターにも関わらず、顔と同じように口調までもどこか威圧感があり怖い。
「ブラックアウト内での一般プレイヤーの単価は、病気などなく健康な状態ならば1500万Bの価値がある。この世界では、現実世界の縛りがなく何でも出きるからね」
大丈夫なのか……?
仮に、俺が融資を受けて返せなかったとしたら、どうやって回収するつもりなんだ?
ブラックアウトの世界は、現実世界のように警察がいるわけではない。
正直、ゾッとした。
『やめておいた方が良さそうだな』
心の中で光刀の声が聞こえてくる。
『さっきから黙っていたが、どうも君を連れてきた男は胡散臭い。いや……胡散臭いのはこの町全体か』
光刀の口調は、いつも通り冷静だった。
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