ピノキオの結末

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「まだマイケルの姿のままでいるつもりですか?」 「ああ。そうだったな」 見た目は、さっきまでピノキオクエストを行っていたマイケル。 マイケルの姿をしたその方は、着ぐるみを脱ぐように皮を剥ぎ始めた。 「ふうー。すっきりしたぜ」 中から現れたのは、ボサボサ頭だが、赤毛が印象的な男。 紛れもなく、あの方だった。 先のクエストでビクトリアという名の騎士が混じっていたが、それとは比較にならないほどの別格の強さが滲み出ている。 それを見計らい、他の人間がその方に巨大な剣を渡す。 その方は嬉しそうに、巨大な剣を背負った。 「やっぱりこれが一番落ち着くな」 「それにしても、何で貴方の様な方がピノキオクエストに参加する気になったのですか? 容姿だけを別人にするならともかく、マイケルという性格を作り出して、中身まで本当に本人になったようなつもりで参加するなど……」 「何となくな。思ったより楽しめたよ。途中で本当の自分の存在を思い出しちゃったけどな。ミケランジェロも俺だってことには全く気付かなかったし」 「そうですか……」 「色々とありがとな。ライアン。今回の計画に協力してくれた藤原優と黒田の助手にお礼は伝えといてくれ」 「わかりました」 すると、その方は能力を使い宙に浮いた。 「どこへ?」 「いやあ。ちょっと世界の王から呼び出しくらってるからさ。たまには顔を出さないとな。連邦会議も、俺っていうことにして部下に出てもらうには限界があるし。じゃあ、後は宜しく頼むな」 そう言い残すと、あっという間に地の果てまで飛んでいってしまった。 飛び立つ際に見せた背中には、世界の王補佐リーダーであることの証であるエンブレムが描かれていた。 あの人が、世界の王補佐の中で一番わからない。 一番残忍っていうのは、ただの噂だったし。 朗らかで明るい性格だし、本当に良い人に見えるんだけどな。 イエス様……。
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