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美沙と杏奈が目を覚ますと、俺と仁はこれまでの経緯を話した。
困惑しながらも、徐々に状況を受け入れていく。
だいたいのことを伝えた後、仁はいつもの考え込む仕草をした後に重々しく口を開いた。
「世界が変わる瞬間って。いったい、何が始まるんだろうな」
神谷は、もう時間がないと言っていた。
何が始まる?
そんなの俺にはわからない。
前に、優くんはβl@ck★OUTの★は、黒く染まった地球を意味すると言っていた。
「和也」
仁は、強い眼差しを俺に向けて言った。
「あいつが最後の鍵を持ってるんだろ。だから、会いに行こうぜ。ブラックアウトの謎を解き明かすんだ。自分たちの手で進むしかない」
少し悲しそうそうな瞳に変わり、こう呟いた。
「死んでいった誰かのためにも」
「そうだな……」
頭の中では、あの光景が過る。
暗い穴の向こうに居たはるかの姿。
あれはなんだったのだろうか?
何だか幻だったような気さえする。
この世界のどこかに、はるかは居るのだろうか?
話が終わり、クエストボックスを後にした俺たちは、船に乗って洞窟を出た。
しかし、信じられない光景が広がる。
「何これー?」
美沙が一番最初に驚いた声を出した。
空が、七色に輝いていた。
何かが始まる。
美しい空は、なぜか終わりを告げているような気がした。
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