プロローグ

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「いらっしゃいませ」 ガラガラと二重のガラス扉を開けると、いつもと同じように明るい声が私を迎える。 今日は甘いメープルの香りが一緒だった。 目を閉じて店内に広がるとろける香りを吸い込むと、 「霧島さん、こんにちは」 と、カウンターでレジ打ちをする合間に可愛らしい女性店員が私に言った。 彼女の名前は宮田さんだ。 「こんにちは」 私が彼女に微笑むと、彼女と一緒に店の奥からもう一つの笑顔が返ってくる。 カウンターから見える調理場の一番奥で作業をする男性スタッフだ。
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