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――――天草四郎――――
物語の結末とは、必ず悪人が倒れるというのが憑き物です。
私は、胸に手の平を当てました。
高台の上から眺める月は、何よりも美しいと感じてしまいます。
月に続き道は、導くように光り輝いていた。
私は、あの階段を登り、月からメインストーリーに行きます。
敵は、あの先で待っている。
「おい。天草。行くぞ」
急に後ろから襟を引っ張られて、私と月の距離が数センチほど離れました。
「なんですか。月が私を呼んでいるんです」
背後から引っ張ってきたのは、土方副長でした。
「寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ。月から攻略はしねえ。俺たちは、基本クエストの通常ルートから攻め込むんだ。プレイヤー連邦会議で決まっただろ」
「え?」
私は、あまりに予想外な事を副長が口にしたことで、驚きのあまりに顎が外れそうになりました。
「月からは行かないんですか?」
土方副長は、苛立った顔をして答えます。
「お前、何聞いてたんだ? 月はアイテムがねえと通れないから大人数の侵入は無理だってリリルが言ってただろ。お前の役目はあいつらを移動させることだ」
眼下には、既に戦闘の準備を整えた数万人のプレイヤーがひしめき合っている。
「あいつらをお前が瞬間移動させて、一気に攻め込むんだ」
土方副長は、自信満々の笑顔で言った。
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