第壱章:入学式は波乱の幕開け

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────NOT SIDE. 桜がひらひらと舞い、美しい風景を作り出している。 そして、一人の少女のような少年が、まるで宮殿のような建物に入ろうとしている。 ここは鈴宮学園。 日本、いや、世界規模のお坊っちゃま達が通う学園だ。 だがしかし、男子校だが。 少年────七瀬 雪は躊躇いもなく門を潜り抜け、目的の場所へ向かう。 目的の場所とは、掲示板のあるホールだ。そこにクラス分けが貼り出されている。 雪が歩いてくると、他の生徒たちは言葉を失う。 あまりに儚く、美しいからだ。 女子と見間違えそうな外見をしている。本人曰く、コンプレックスだそうだが。 雪が歩く道を譲るように端によける。そして雪は自分の名前を確認し、そのまま体育館1へ向かった。 なぜ1が付くかというと、3まであるからだ。 この学園は日本全国の金持ちが集まるので、それなりに人数も多い。 講堂としても使用している為、3つもあるのだ。 雪としては「……お金の無駄」だそうだが。 体育館に到着するまでも、好奇の目で見られていたが、全く気にしない。 というか、気付いてすらいない。 基本何事にもめんどくさいのだ。 入学式ですら無駄だと思っているほど。 そして、ほぼ全ての席が埋まり、入学式が始まる。 舞台の壇上に上がったのは理事長。30にしてこの地位にいるのはなかなか珍しい。 しかもダンディズムな魅力を放ってらっしゃる。 それだけで周りは騒ぐ騒ぐ。 雪は予め用意していた耳栓をはめ、はあ、とため息をついた。 すると、次はやたらめったら美形な集団が壇上に上がる。 雪には聞こえていないが、生徒会だ。風紀委員もいる。 この二つの勢力は、かなりの美形揃い。まるでアイドルかのように声援に応えている。 耳栓をしているため、何を言っているか分からないが、とりあえず聞いているフリをする。 そして、およそ30分後、入学式は終わった。 雪は耳栓を外し、飄々と、教室に向かうのであった。
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