黒い星として

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神谷慎太郎の息子だ……。 巨大な両翼を羽ばたかさせると、それにより生じた風は地上まで届いた。 「相変わらずでけえな」 土方さんは、その空を覆うほどの生物を平然とした様子で見上げている。 アロは一人で大蛇から降りると、腰に手を当てて口を開いた。 「運営委員会もここまで来ると、さすがに止めてくるようだな。土方。上に4人は居るぞ」 おそらく、アロの言う“上”とは飛んでいる生物に乗っている奴らのことだろう。 「ちょっとー! まさかあんなのと戦わないでしょ!?」 美沙がパニックになりながらアロに向かって言うと、土方さんは淡々とこう言った。 「あのデケエのは天草の獲物だからな。あいつとは戦わねえよ」 「は?」 美沙は土方さんの言葉を聞いて口を開いて唖然とした顏をしている。 「ちょっと。そういうことじゃなくて……」 しかし、美沙も土方さんには普通に説明しても伝わらないと思ったのか諦めた様子で口を閉じた。 「どうするの。私もあの大きなのとは戦えないと思うんだけど……」 杏奈も不安に思ったのか空に飛ぶ巨大な存在を見ながらそう口にした。 ふと、土方さんを見るとどこかに電話をかけているようだった。 空に浮かぶ存在を見ながら、電話口に向かってこう発した。 「天草。今すぐ来い。お前の獲物の登場だぜ」 DIMの向こうから天草総長の興奮した声が聞こえた気がした。
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