誰か一人が……-2-2-2

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「それ以外は何もない。研究の為に家族を捨て、そして仕事を選んだからこそ、この場に居る。血の繋がりはあるが、君の本当の父親は君を育ててくれた両親に間違いはないよ」 その言葉を聞いていた杏奈が、今までにないほどの怒りを露わにして叫んだ。 「そんな言い方ってないじゃない! ふざけないで! もう一人の娘は命を落としているのよ!」 杏奈は元々メビウスの輪のメンバーだった人間だ。 神は新撰組との戦闘で命を落とした。 実の娘がそんな人生の結末を迎えたことは黒田研究員だって知っているはずだ。 でも……。 「それは彼女が自分で選択をして進んだ未来だ」 「この野郎……」 仁も黒田研究員に苛立ち、殺気を放つ。 そんな中、黒田研究員は俺のことを見ながら淡々として口調で話した。 「そろそろ全ての真実を話す時が来たようだな。全て仕組んだ未来だということ……」 全て仕組んだ未来……? 「君たちが一緒に居るのは結果的に偶然かもしれない。でも、最初のきっかけは偶然じゃない」 黒田研究員は俺の事を指で差してきた。 「知りたいだろう。全ての真実を……その為にここまで来たのだから」 全ての真実……。 俺は光刀を握り締めた。
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