誰か一人が……-2-2-2

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「無駄だ。ブラックアウトの世界においては、如何なる攻撃も私には無効になるようにシステムを組んである。私だけが持つ唯一のシステムだがな」 ヒカルは神刀で黒田研究員に斬りかかったが、数メートルほど手前のところで刀身が壁にぶつかったかのように止まってしまう。 バリア……? 『どうやら、体内エネルギーでの攻撃を無効化にする壁みたいだな。それだけじゃない。様々な事態に対処できるように何重にも壁が張られている。如何なる攻撃が効かないというのは嘘ではないみたいだな』 でも、ヒカルの攻撃は止まることはなかった。 目にも止まらぬほどの速さで、神刀で斬りかかる。 しかし、それが意味のない行動だという事は、この場に居る全員が理解できるほど絶望的な攻撃だった。 黒田研究員は、そんなヒカルの様子を見ながら口を開く。 「無駄だ。ゲーム内では絶対に死なないようになっている。私は非戦闘員ではあるがな」 その言葉を聞いて息を切らしたヒカルは舌打ちをして、その場から飛び立った。 向かった先は終末の木。 先に京香さんを救い出すと判断したのだろう。 それを見た、天海たち他のブラックスターのメンバーもヒカルの背中を追うように飛び立っていく。 この場に残されたのは、俺と美沙と仁と杏奈。 そして、優くん。 黒田研究員は俺たちを見て、ニコリと笑った。
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