誰か一人が……-2-2-2

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「ようやく君たちともゆっくり話せるな」 落ち着いた様子で黒田研究員はそう言った。 「私のことはどの程度知っているかな?」 黒田研究員は笑みすら浮かべて、俺たちの顔を順番に見回す。 「お父さん……? 貴方が私のお父さんって本当なの?」 俺たちの中で一番最初に口を開いたのは、美沙だった。 そうだ。黒田研究員は、美沙の本当の父親であるはずだ。 美沙もその事には気づいていたのか……。 黒田研究員は、実の娘の2人を手放して養子に出した。 そのうちの一人が、メビウスの輪のリーダーの神。実名は美香。 もう一人が、進藤美沙だ。 憶測では、黒田研究員が万が一にも二人がブラックアウトを始めた時に備えて、スキルインジェクションが当たるように仕組んでいた。 美沙は最初にブラックスターの手によって盗みだされてシャルキーにインジェクションを使われてしまったが、メビウスの輪の神はその能力を手にしている。 これがメビウスの輪の神とシャルキーが同じ能力を保有していた理由だ。 黒田研究員は、美沙の方をじっと見てこう答えた。 「如何にも。私は君の実の父親だ」 美沙はその言葉を聞いて、泣くでもなく、怒るわけでもなく、ただ唖然とした表情をした。
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