終焉の宴

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俺は木にすがりつき、溢れる涙をぬぐった。 『泣くなよ。私は君に笑っていてほしいんだ。最後に君の役に立ててうれしい』 どうして……どうして光刀だけが……! 『手を握り合うことができなくても……。君とは心で繋がれた友達だと思っている。生きているという表現が正しいのかは分からないけど、もし私が生きているという表現を使っても許されるなら……」 拭っても拭っても溢れてくる涙。 『私は君と生き抜くことができてよかった。そして、こう言いたい』 まるで、その幹は生きているようだった。 俺の事を抱きしめてくれているかと思うほど温かい。 『ありがとう。君と過ごすことができて本当によかった』 …………。 ありがとう……。 俺の方こそ迷惑ばっかりかけて……。 俺の方こそ、いつも頼りなくて……。 『もし生まれ変われるなら、今度は一緒に人間として君と過ごしたい』 その矢先、強い力によって俺は勢いよく幹から弾き飛ばされた。
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