終焉の宴

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ありがとう……。 光刀……。 終末の木の葉が次々と落ちていく。 枯葉となり、木の幹も痛み始めた。 空から降る葉は、優しい光に包み込まれていた。 空から舞う無数の葉が、みんなの傷を癒していく。 これが光刀の最後の行動なんだと分かった。 葉を失うごとに終末の木は朽ちていく。 葉の一枚一枚に、思い出が映し出されているような気がした。 それは、どれだけの長い時間だったかのかも忘れるほど。 人には一人一人、見ている光景があって。 見ている人によって、見ている光景が違う。 最後の一枚の葉が地面に落ちた時、視界は眩い光に包まれた。 辺り全体が終末の木の光によって包まれている事が分かる。 『さよなら。そして、ありがとう』 そんな言葉を最後に、俺は意識を失ったんだ。 こっちこそ、ありがとう。 光刀……。
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