さぁ、君も僕と握手

第1章 ようこそＭＳＳへ

幼い頃から“いいえ”の一言が言えない性格だった。

頼まれたらどんなにやりたくないことでもやってしまう。
それで損することもたくさんあった。

でも……あの時

あの一言を言った時は、そうじゃなかったんだ。

穂果（ほのか）は俺が引き取ります。

あの時はそうじゃなくて、心からそう言った。

兄貴が事故でこの世を去ってしまったのは去年の秋、それは穂果が両親を突然失った季節でもある。そして俺と穂果のふたり暮らしが始まった季節でもあった。