第24話

14/34
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/430ページ
更に、裾の広い袴のおかげで見難いが、膝を不自然に沈ませ、まるで"蹴りでも入れるような体勢"を取っていた。 鉄扇の軌道は刀を往なす為、空が見えたと言う事は私は回転していたんだ。つまり、往なす方向は"円"。 そして、低い体勢は足を払うためだ。 その拍子で宙に浮いた私の体は、斬撃の力を利用され鉄扇で容易く往なされた。円を描くように"投げられた"と表現しても良いのかもしれない。 つまり、纏めると千代は私の体を鉄扇と女性特有の華奢な体躯でも実現出来る技量を持って、私を回転するように投げ飛ばし、その軌道上に"手を沿える"だけで、私から見ると"凶悪な速度の掌底が向かってきたように見えた"……というところか。 斬撃が触れる瞬間を見計らい、足を払って鉄扇で往なす事で投げ飛ばし、掌底を入れる。どれもが緻密な時間差で行うべき動作であって一つ違えば不発に終わる。それを戦闘の最中にやってのけるなんて人間技じゃない。これこそが、千代の築いてきた経験なんだろう。 でもね……種がわかれば同じ手を食らう程、人間できてないわよっ!!!! 「やあっーー!」 「無駄じゃと言うてーー!?」 千代が言葉を失い驚いたのも無理はない。私の手にした刀が鉄扇を"すり抜けた"んだから。 「ーーくぅっ!」 千代は素早くその身を後退させるがそんなことは許さない。私は"刀に似せた炎の塊"を千代の胸に押し当てた。 「がああああああああああああああっ!」 「千度の熱に焼かれなさい」 そして、体に纏う炎と共に千代の頬を拳で貫いた。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!