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「……ほんと、お前って」
「っ」
そんな俺を、倉森が嗜める。
普段は槇小路のことでしか崩れない顔が、それはもう楽しそうにほくそ笑んで、……この悪魔野郎。
「お前と俺は違うんだよっ」
「お前も俺と同じだろ。好きな女に触れたくて、死にそうになってる」
「! お前も、死にそうになったのか!?」
「いーや。触れたいって思った時には既に触れてた」
「……ッ」
くっ。
こういうやつだよ!
「俺が記憶するところ、深崎の方がそういうことしたくて仕方ないんじゃなかったっけ?」
だけどこいつはこういうやつ。
聞いていないようでちゃんと聞いていて、そして的確に核心をついてくる。
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