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絶対に絶対に言うなと釘を刺し、倉森家から出て数秒。
「……!」
そこに、どうやら槇小路家から帰宅途中の深崎と遭遇して、思わず目を見張った。
「っ」
もちろんそれを深崎に気づかれた。
ムッとした顔が、見て取れる。
「……っ」
「――おい!」
しかも、俺を無視して、通り過ぎようとする。
思わずその腕を掴むと、また……。
(ふわ……っ)
とした感覚が走って、咄嗟に手を離した。
顔の横、あからさまに離してしまった手に、深崎の恨めしそうな視線を向く。
「……別に、触れられたくらいで、勘違い、しないし」
「……は……?」
「ちょっとくらい触れられたって、あんたがそういうことしたくないことくらい、分かってるってこと!」
「――っ」
深崎が声を荒らげて、言った。
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