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「あいつらの所為でカナメといる時間が十五分も減っちゃったじゃん」 あいつら、という少し荒めの言い方に違和感を覚える。 そんな言い方するんだな、と新しく彼女の秘密を知った。 不機嫌な理由が僕といる時間が減ると言うのが、複雑だった。言われる身としては決して悪い気分ではないけれど、彼女がそこまで気にする理由がわからない。 「あ。カナメって潔癖性だったりする? 」 「いや、そんなことはないけど」 「よかった。今から行くとこちょっと汚れてて埃っぽいからさ。あと結構歩くよ」 歩くのは構わない。散歩は嫌いじゃないから。 それよりも。 「どこに行くの?」 「秘密。言っちゃったらつまんないじゃん」 僕の質問に、彼女が意地悪く笑った。
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