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放課後。 秕に言われた通り、校門の前で待っていた。 誰かを待つというのが久しぶりで、いつぶりかなと記憶を探っていると、中学以来だと気がついた。 遠吹楓で付き合っていた頃以来だ。 あれを付き合っていたと言っていいのかわからないけれど。 黒歴史に近いそれを思い出し、少しだけブルーな気分になる。 下校する生徒の集団を眺めてること十五分。 ようやく秕が現れた。 「ごめんごめん。結構みんなしつこくて」 自慢なのか、それとも親友ゼロの僕に対する皮肉なのか。 彼女がそのまま歩き出したので、僕も彼女の隣を歩く。 「本当やだよね。全然諦めてくれないの。予定あるって言ってるのにさ」 不満を呟く彼女は、明らかに不機嫌だった。
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