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広くはない洗面脱衣所の鏡の前で顔面チェック。
自分で言うのもなんだけど、もともとの顔面偏差値は52くらいだったと思う。
二十代女性だったら実質顔面偏差値に若さとハリツヤの様子が加わって全員が52なのだ。
ところが、谷原泉は本日34歳。
若さとハリツヤは三十代になるとともにマイナスされて正真正銘の顔面偏差値50。
そこに、日々の疲れや潤い不足が加味されるとどんどんマイナスされていく計算になるから……女性は化粧でカバーするのだ!
出来上がった顔は、平凡な顔。
取り立てて褒めるところもなく、けなすところもない。
ホッとする顔ってやつだ。
安心させる相手もいないくせに……債務者だって、絶世の美女に融資の相談をするよりも私のようにどこにでもいるような顔つきの女の方が融資の相談も返済の相談もしやすいに違いない。
あぁ、債務者以外にも安心感を与えたい。
できることなら、最後の恋愛と最初で最後の結婚を……私だって諦めたわけじゃないさ。
ただ、失敗したくないと思うといろいろと踏み出せないし、相手だって吟味したいだけ。
そして、私のことも吟味した上でいいでしょうと言ってくれる人と人生を歩みたいだけだ。
顔面をチェックしていただけなのに、色々考えてしまうのは一応、誕生日で将来のことも考えてしまうお年頃だからなのかな。
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