#2.限定モデル

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「は、は、は、は…!?」 呼吸が浅い。死を覚悟したからだ、異常に心臓が高鳴ってる。 (……あれ、生きて…る?) それどころか逆に外傷一つなかった、疑問を通り越して軽くパニックになる。 確かに、何かが衝突する音はしたんだ、 (じゃあ、何がーー…?) 「おい、いつまでヘタってんだじゃじゃ馬。」 「っ!?」 男の声がした、ドキリと心臓が跳ねて勢い良く顔を上げた。 「この俺が気まぐれで助けてやったんだ、感謝しろよ。」 「え、ぁ…はい。」 珍しく突いて出た敬語に、恥じらいがあった。 「アン、タ……学生?」 「そーだけど。」 真っ黒の髪に同じく真っ黒の瞳。黒い学ランに身を包む彼を形容するならば、さながら『漆黒』だった。 (何、コイツ…?助け、コイツがトラックから私を?あり得ない…) 衝撃はイチ人間に止められる規模じゃなかった、信じろと言う方が無理だ。 「感謝も言えねぇのかよ、まぁ…イイけど。」 ポケットから大福を取り出し、軽く口に運んだ。あれだけの大事故を目の当たりにしたと言うのに、呑気なものだ。 「‘‘また”な、じゃじゃ馬。」 「ーーーえ、ちょ、」 激動の数分を、少年は風のように現れ風のように去って行った。 「何なのよ、アイツ…」 惚ける事しかできない櫻子に、もう一つの情報が。 「っ!?」 衝突してきたトラックの真正面。 ギ、コ… まるで受け止めたかの様に…手形が一つ、くっきりと残っていたのだから。
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