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「私が言いたいのは、そこじゃないってば」
と言いながら、おや? 晴比古先生になっている、と気がつき、笑ってしまう。
殺しかけ、殺されかけて、気の置けない仲になったのだろうかなと思う。
生死を賭けた付き合いをしたわけだから。
「私、今までなにをしてたのかとか考えないことにするわ。
今までのことはすべて、志貴と出会うためにあったんだと思うことにする。
大好きよ、志貴」
「ちょっと子供が身内に甘えてる感じなのが嫌なんだけど。
いいよ、今はそれで許してあげる」
と志貴は言う。
「いや、あの、身内とあんなことしないから」
と亮灯は少し赤くなり、言った。
そっと手を差し出す志貴の手のひらに己の手を重ねた。
そのまま、手をつないで月と星に照らされた夜道を歩き出す。
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