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執事の仕事は常に主の身の回りの世話をすることだ。
それもやりながら雪音のことを学ぶなんて、そんなのできない。
「執事は続けます」
「えっ?」
「ただ、今までのようにずっと梨緒の隣にはいることはできないでしょうが、必要な仕事は俺がやります」
「そんな、いい。あたしは大丈夫だよ」
あたしがそう言っても琉生は何も言ってくれなかった。
何か考えがあるのか、お父さんたちを見つめたままだ。
「俺が梨緒のそばにいたいんです」
「……」
「お願いします」
ペコリと頭を下げる琉生を見つめるお母さん。
すると沈黙を破るようにお父さんが呟いた。
「琉生。もう別にお前は執事として梨緒のそばにいる必要はないよ」
「……」
「だってお前は梨緒が選んだ男なんだから。梨緒の恋人として隣にいればいいじゃないか。執事はやめて、恋人として梨緒の隣にいるのは嫌なのか?」
「それは一番俺が望んでいた姿です」
「じゃあそれでいいじゃないか。もう必要以上に執事を続ける必要はないだろ」
お父さんは琉生をただの恋人として、あたしの隣にいることを許してくれているんだ。
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