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「執事としてではなく、恋人として梨緒が必要な時、世話をすればいい」
「それでもいいのですか?」
「俺は構わないよ。椿は?」
お父さんがお母さんに問いかけると、小さくため息をつき、そっと口を開いた。
「別に、構いませんよ」
「ありがとうございます」
ここに来て初めて琉生が小さく笑った気がした。
「だったら琉生。明日からお前は執事としてではなく、梨緒の婚約者として雪音について学んでもらうよ」
「はい」
「よし、話は終わり!もう戻ってもいいよ」
「お父さんありがとう」
お礼を言ったあたしは琉生と一緒に立ち上がる。
先に琉生とお父さんが歩きだし、あたしはふとお母さんに訪ねた。
「どうしてお母さんはあたしと琉生のことを許してくれたの?」
「……」
チラリとあたしを見たお母さんは観念したように、ポツリと呟いた。
「梨緒には……総司さんと百合さんのようになってほしいからよ」
「…お母さん」
「幸せになりなさい。梨緒」
小さく笑ったお母さんは先に歩いていってしまった。
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