クレタ島の嘘つきさん

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クレタ島の嘘つきさん

あるクレタ人が、「クレタ人は嘘つきです」と言いました。 さて、このクレタ人は嘘つきでしょうか?? これは、論理学の雑学本なんかを読めば、大抵載っている話です。 もし、このクレタ人が正直者なら、「クレタ人は嘘つきです」という発言は正しいわけですから、このクレタ人も嘘つきのはずです。 しかしそれは、この発言をしたクレタ人が正直者であるということと矛盾します。 一方、このクレタ人がもし嘘つきなら、「クレタ人は嘘つきです」という発言は嘘なわけですから、このクレタ人は正直者のはずです。 しかしそれは、この発言をしたクレタ人が嘘つきであるということと矛盾します。 つまり、このクレタ人が正直者だと仮定しても嘘つきだと仮定しても矛盾してしまうのです。 それなら、このクレタ人は正直者なのか嘘つきなのか、となります。 けれど、本当に嘘つきかどうかを気にしなければならないのは、実はこのクレタ人ではないのです。 えぇ、本当に嘘つきなのは、「この話を広めた人」に他なりません。 なぜなら、この議論は間違っているからです。 ポイントとなるのは「述語論理」です。 「すべて」と「ある」という言葉がキーワードとなります。
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