156人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「知りたいことは知った。じゃな」
振り返った哲は紘斗をちらりと見やって云うなり、まえに向き直ってすたすたと歩いていく。
こういうときは哲のことをひどく頑固だと思う。
気を変えようと思ったところで絶対にきかないのだ。
「哲ちゃん、今日はありがとう。気をつけてね!」
後ろ姿に呼びかけると、哲は背中を向けたまま片手を上げた。
「わたしも知りたいことあるのに」
「何が?」
姫良の不満そうな独り言に紘斗が反応した。
「哲ちゃん……。ううん、いいの。それより仲良くなれた?」
姫良は紘斗の問いに答えかけてやめた。
哲には哲のテリトリーがあって、それを侵すことで哲が離れていってしまう可能性もある。
最初のコメントを投稿しよう!