第1章

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教室の戸を開けたら、そこには異様な景色が広がっていた。何て言ったらいいだろう・・・見たまんま言えば、カノジョが黒魔術の儀式してる。 教室のまん中に広い空間が空くように机や椅子は壁際へと押しやられ、その空いた空間には何やら怪しげな光を放つ魔方陣的なものが描かれている。 部活終わりに教室に荷物を取りに戻ったら廊下の窓から最近付き合いだした彼女が見えて、待っててくれたことが嬉しくて、教室の中が薄暗いから、こんな時間まで待たせてしまったことへの申し訳無さとか色々胸に込み上げてたはずなんだけど、一気に吹っ飛んだ。 「なんっじゃこりゃあー!?」 思わず叫んだその声に小さな肩を震わせて、ビックリした風の彼女が振り返る。彼氏の姿を認めてか、見慣れた花のほころぶような笑顔を見せてくれた。 「よかった、私の召喚術成功した!」 ゆっくり駆け寄って、ハグ。かわいいし、嬉しいんだけど・・・。 「今の、何?」 彼女は答える気がないのか微笑むだけだし、教室をこのままにはできないので二人で並べ直した。幸い机や椅子は誰のものか、という決まりがない。持ち物はロッカーに入れる決まりだし、見た目だけ元通りに出来れば多少違和感を持つやつが出るかもしれないけど、今日、行われたオカルトに気づくやつはいないだろう。 そう、胸中で思いながら、今後の彼女との関わり方を改めて真剣に考えざるを得ないとも思っていた。ミステリアスなとこも好きなんだけど、ミステリアス過ぎるだろぉ。
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