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ある日から雪が降るようになった
バルコニーの柵には真っ白な雪が降り積もっていて、時折風に吹かれて屋根の下まで雪が吹き込んでくる
太陽の差さない真夜中、身は凍えるようで
かたかたとみっともなく震える体を縮ませて、一人座っていた
本当に馬鹿だ
背中を任せているこの扉が開くはずもないし、開くとも思っていない
僕が待っているのは桜庭佑一なんかじゃない
でも、一佐の面影を探して結局はここに来てしまう
だけど、やっと終わらせる決意が固まった
白鳥家に忍び込むのには毎回組織の力が必要で、誰も文句は言わないけれど負担がかかっている
もう、ここには来ない
…もう、一佐の面影を追うのを止める
12時前、僕は立ち上がった
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