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《憂樹-ユウキ-side》
それは、いつも通りの休日のことだった。
幼馴染みの遥斗が、僕のベットで漫画を読んでいる。
ぽかぽかと陽射しがさす僕のベッドの上が、遥斗のお気に入り。
それは、僕らにとっては当たり前となっている休日の光景。
ただ、一つ違うところをあげるとすると、遥斗がどこかそわそわとしていること。
何か話したいことがある時の態度は、昔から変わらないな。
そう思うと、少し頬が緩む。
僕は勉強をしながら、遥斗が話したくなるのを待っていた。
......もちろん、勉強には全く集中できないけどね。
体を起こし、座り直したところを見ると、そろそろかな?
しばらく黙ってこちらをちらちらと見ていた遥斗が、真剣な顔をして僕の目を真っ直ぐ見つめてきた。
遥斗は優しそうな垂れ目をした、いわゆるイケメン。
その垂れ目が僕の方を見る。
たったそれだけのことで、僕の鼓動が有り得ないくらい速くなることを遥斗は知らないんだろうな。
遥斗がようやく口を開いた。
「......なぁ、憂樹。ラブレターってどんな風に書けばいいんだ?」
少しだけ頬を赤く染めて、真剣な表情で問いかけられた。
その表情を見れば、遥斗がラブレターを本気で書こうとしていることは明らかだった。
遥斗にラブレターを送るような相手がいると初めて知った。
今まで、恋愛の話なんて聞いたことなかったのに......。
自分の恋が成就するとは思っていないつもりだったけど、もしかしたら......と淡い期待をいだいていたことに気付く。
泣きそうだった。
それでも、僕は笑う。
そして、声が震えないように気を付けながら、軽い感じを心がけて返事をする。
「遥斗って好きな人いるんだ。誰なの~?」
遥斗はちょっと困った顔をして、それでも優しく微笑んだ。
それは、今まで見た中で一番優しい顔。
「あー、まぁ、直ぐに分かるよ」
その表情からは、相手のことをとても大切に思っていることが感じとれた。
そんな顔を見たくなかった。
誰かのことを想っている表情なんて......。
「......そっか」
......遥斗に彼女が出来たとき、僕は上手く笑えるかな?
祝福、できるかな......?
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