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「親友くらい作れよ」
「それに裏切られたらキツイから作らない」
「そんなもんかなぁ」
「俺には舎弟たちもいるし兄ちゃんもいる。淋しいこともない。悩み事は会長とか大人の日との意見の方がグッとくるし」
「同世代でバカなことやるってのもいいのにな」
「兄ちゃんよりかなりドライなのかも。俺の内側は気の許した人にしか見られたくないんだ」
「気を許した人?」
「そ、その人だけでいい」
「俺がお前に淋しい思いをさせたせいなのかな・・・・そんな考え方になっちまうの」
「兄ちゃんのせいじゃないよ」
「・・・・・・」
「そのホストクラブ、ヤクを売っているって噂なんだ。客の女の子に広めて顧客を増やしているとか」
「それが”赤龍”絡みとでも?」
「そこのオーナーさ、正体不明なんだ。従業員に何人か中国人留学生もいる。なんだか人が減ったり増えたり謎の多い店らしいんだ」
「その情報はどこで取った?」
「知り合いとそこで仲良くなったナンバーワンホストから」
「そいつらは”赤龍”には関わっていないんだ」
「そうだね。店のそう云うところに疑問は持ってるからね」
「まぁ油断せず情報を引き出して、よく吟味しろよ」
「うん、わかってる。ちょっとその前に・・・・」
後ろから抱きしめて首筋に唇を寄せる。
「なっ!やめ・・・・りく・・・・」
「兄ちゃんの匂い・・・・落ち着くんだよ。俺の元気のモトなんだ」
「くせぇだけだろ!もう放せよっ」
耳から真っ赤になっている兄の首筋は甘い香りがして俺を芯から蕩けさせる。
「ほんと・・・・すげぇ好き」
「放せ・・・・恥ずかしいから」
「恥ずかしいの?」
「こんなに他人に触れるのは久しぶり過ぎて・・・・なんだかおかしくなりそうだ」
「おかしくなっちまえばいいのに」
「バカ言うな!兄弟なのに」
「従兄弟だろ?」
「従兄弟と思たことはない。俺のかわいい弟だ」
「じゃあ、違う意味でかわいがってくれればいいのに」
「兄弟としてだ、バカ」
「つれないな。じゃああの約束、宜しくね」
「っ・・・・・!!///」
「昔みたいに一緒に風呂はいろ。背中流してやるからさ」
「兄弟として・・・・」
「そ、兄弟として」
そう云いながら内心そんなこと思ってやしなかった。少しでも近づければ俺は何でもする覚悟ができていた。
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