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「ちょっと来て来て」
もう一度、女の子に呼ばれて、森川くんは、
座ったばかりなのに、ゆっくり膝を立てた。
「その言葉、そっくりそのままお前に返すよ」
「え……?」
「ま、俺じゃ……
無理だしな……」
森川くんが最後に何かをポツリと呟いた気がした。
立ち上がった森川くんを、目で追うけど、
森川くんの視線は、もうここにはなくて、
呼ばれた先へ足を向けていた。
「……?」
今、なんて……?
離れていく背中を、つい目線で追ってしまう。
やっぱりダメだ。
意識しないつもりだったのに……。
意識しないでおこうと思えば思うほど、気になってしまうんだ……。
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