日曜日 : 午後

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まっすぐ帰宅していいのかわからず、混乱した気持ちを落ち着かせるために、どこかで休もうと思った。 僕は公民館の横にある小さな公園に寄り、目の前にある自動販売機でペットボトルのコーラを買った。 公園に入ると、空いているベンチを探し、サラリーマンの横に座った。 ベンチはどこもいっぱいで、日曜日の午後に子供を遊びに連れて来ている親子で埋め尽くされていた。 公園の広場では父親達が、普段は絶対にしていないと予想できるキャッチボールやサッカーの真似ごとを子供達としていた。 子供達は楽しげに大人達の投げるボールを取ろうとしたり、大きすぎるサッカーボールを一生懸命蹴っていた。 公園の北側にあるマンションと大きな木でできた日陰では、母親と思える集団がなにやら楽し気に会話をしているのが見えた。 僕の座っているベンチの横には、日曜日なのにスーツを着た、少し疲れた感じのサラリーマンが漫画雑誌を読みながら缶コーヒーを飲んでいた。 きっと、公園で仕事をサボって時間をつぶしているんだろうけど、見るからに仕事のできなさそうな雰囲気が出ていた。 僕はサラリーマンの横で気持ちを落ち着かせるために何度も深呼吸をしたが、その度にサラリーマンは面倒臭そうに僕を見た。
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