転校生

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 七月の頭。  梅雨が過ぎ、セミが鳴き始め、プールの授業に慣れてきた頃、青花学園高校伝統の一週間がやって来た。  誰が呼び始めたのかはもう誰にも分からないが、その一週間を知る者はその週をこう呼ぶ。  ブルーウィーク。  午前の授業が終わり、翌日の球技大会の準備をし始める生徒達の多くは知らない。  この球技大会の準備日としてブルーウィークの初日を飾るこの月曜日に、一人の転校生がいたことを。  転校生の名は北町蒼(きたまちあお)。  高校三年の夏休み前という、響きからは想像もできないほど最悪のタイミングで転校してきてしまった青年。 「あ、転校生君。ちょっとストップ」  忙しそうに生徒が行き交う教室前の廊下で、壁にもたれ、床に短いスカートから伸びた細い足を両足揃えて真っ直ぐ伸ばして座っている女子生徒が蒼の前にいた。  その女子生徒は、クラスで一番なのではないかというほどの愛らしい顔を持ち、男子校から転校してきたばかりの蒼は、何の抵抗も無く一目惚れした。
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