第二章 建設業界の闇

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  「しかし、調べるにしてもな……」 「えぇ、能見が本当にそんな人間を子飼いにしているのか。しているとして、そいつが何者なのか手がかりは何もありません」 「それに相手は、国政を狙う政治家だ。既に能見の名は、柿崎警視にも伝わっているが。特別に、捜査の指示は出していない」 「圧力がかかる事を考慮し、慎重になっているのでしょうね」  だからと言って、柿崎が政治家の圧力に屈する人間では無い事は二人も良く知っている。ただ、現段階で圧力がかかれば、捜査は根本からねじ曲げられかねない。  下手をすれば、事故で処理しろと不当な指示が上層部から出そうなもの。  慎重になる、柿崎の気持ちも十分に理解できる。  しかし、慎重になり過ぎ。手をこまねいていては、犯人を取り逃がす事にもなりかねない。  せめて殺人の実行犯だけでも、どうにか特定する手段は無いものか。矢次は、そのように思案していた。
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