第二章 建設業界の闇

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   そうなると、次に必要なのは金という事になる。  個人資産は県議会議員として、それなりの額は有するだろう。社長時代に溜め込んだ、裏の資金もあるのかもしれない。  しかし一方で、議員としての知名度はそこまで高くないのも事実。  建設業界以外の支持団体が、あといくつか欲しいだろう。そうなると、実弾としての現金はどれだけあっても足りない程。  そこで、目をつけたのが葉北建設だとしたら。  これからの成長も、大きいだろうと見込める同社の社長。彼を資金源の一つとして抱え込めばと考えたなら。葉北建設は、彼にとっての打ち出の小槌となるだろう。  その見返りに、公共事業の発注を優先的に回してやればいいのだから。何なら葉北建設を、第二の能見建設とするつもりかもしれない。  北方は、そこまで至った考えを矢次に話した。 「あくまで仮説だが、どう思う?」 「調べる価値は、十分にありますよね」
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