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春眠暁を覚えず。
春暁の作者は千年以上も前の人だけど、人間の体のサイクルはその頃から変わらないみたいだ。今は春で、僕は眠い。
満開の桜並木の脇。
ぽつんと置かれたバス停の前であくびを噛み殺していると、待っていたバスがきた。
僕が乗り込むと、乗車口のドアはすぐに閉じた。僕の後に続いて乗車する人は、誰もいない。そして先客も、誰もいない。
僕が乗ったのはスクールバスの始発で、学校に到着するのは始業の一時間半以上前だからだ。
人混みが苦手な僕は、昨年は一年間、ずっとこのバスに乗ってきた。
そしておそらく今年もずっと、このバスに乗り続けるだろう。
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