3997人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
同期の彼女とは入社以来の付き合いだ。
社内で一番信用できる友人だけど、浮いた噂を纏いたくない寧史のため、二人のことは一切打ち明けてこなかった。
それほど私にとって寧史は何より大切なすべてだったのに、西野円香とはあっさりと通用門で待ち合わせしている訳で、今はもう悲しいのを通り越して笑えてくる。
「働いても働いても感謝されないし地味だし、経理って損な部署だよねー」
「だねぇ」
歯に衣着せぬ美和のぼやきに苦笑いして相槌を打った。
入社して六年。
もうベテランとはいえ、気を抜けない処理が続くと、夕方には肩と目と、あとモチベーションに限界がくるのだ。
「せめてイケメンでもいればモチベーション上がるのに。ここって腕サックしたオジサンばっかだよ」
そういう私たちも腕サック愛好者だ。
美和がつけているのは私が百円ショップで見つけた、少し可愛いもの。以来お揃いだ。
「イケメンといえば桐谷主任だってそうでしょ。どうして男って秘書が好物なんだろうね」
ストライクな話題にキーを打つ手が乱れた。
最初のコメントを投稿しよう!