指輪の刻印

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同期の彼女とは入社以来の付き合いだ。 社内で一番信用できる友人だけど、浮いた噂を纏いたくない寧史のため、二人のことは一切打ち明けてこなかった。 それほど私にとって寧史は何より大切なすべてだったのに、西野円香とはあっさりと通用門で待ち合わせしている訳で、今はもう悲しいのを通り越して笑えてくる。 「働いても働いても感謝されないし地味だし、経理って損な部署だよねー」 「だねぇ」 歯に衣着せぬ美和のぼやきに苦笑いして相槌を打った。 入社して六年。 もうベテランとはいえ、気を抜けない処理が続くと、夕方には肩と目と、あとモチベーションに限界がくるのだ。 「せめてイケメンでもいればモチベーション上がるのに。ここって腕サックしたオジサンばっかだよ」 そういう私たちも腕サック愛好者だ。 美和がつけているのは私が百円ショップで見つけた、少し可愛いもの。以来お揃いだ。 「イケメンといえば桐谷主任だってそうでしょ。どうして男って秘書が好物なんだろうね」 ストライクな話題にキーを打つ手が乱れた。
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