流浪の民

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時を同じくして、古代の森上空。 イト姫もまた上空からこの森の、そしてその先、この世界の異常さに気づいていた。 コチがあった場所は今探索隊が潜っている森で間違いなさそうだ。木々の合間に古びた建築物が朽ちかけて残っている。 それはいい。当然だろう。 だが問題はその先。森を抜け、さらに先に広がるサバンナには巨大な四足の首の長い竜が闊歩し、その群れの合間を小型のトカゲのような者が疾走している。 泉の周りには背中に剣板を生やしたアルマジロのような巨大生物。三角の巨大サイ。 そして空を舞うのは、ワイバーンをさらに醜くしたような矮小な竜の姿。 「なんだこの世界は・・・。 こんなもの私の知っている世界ではない。なんだ、何が起きている・・・。」 空恐ろしさに呟くイト姫。 遥か彼方となった山世界へと振り向く。そこに広がっていたものは変わらぬように見える緑の山。その上部こそ赤と白に覆われているものの、確かに知っている世界。 「・・・私達がこちら側にきたときはどこもかしこも見渡す限りの荒野。 草木の生えぬ不毛の地。 そんな中でようやく見つけた安住の地が、あの広大な山。 それが今は・・・。 どうなってんだよ。いったい。」 軽い眩暈すら覚え、力が抜ける。 がくん。 とっさに体勢を立て直す。 がくんっ!! なんだっ!?力が入らないっ! 必死で羽ばたく。 翼は魔法による飛行の補助程度でしかないものの、その飛行魔法が覚束ないのだ、必死で羽ばたく。 なんだ!?なんだこれっ!?翼が空気を喰わない!? 落ちっ!! 落ちるぅぅぅぅぅ!! なすすべなく古代の森へと落下していくイト姫。
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