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「……理沙から聞いて……」
スーツのポケットに入れたままになっている森川くんからもらったストーンを、ポケットの中でギュッと握り締めた。
「どうしても納得できなくて……」
「何?」
森川くんは私とテーブルを挟んで向かい側に座って、じっと私を見据える。
ここまできたらもう後には引けない。
息をするのも苦しいくらい緊張が高まってくる。
「本当にゲームだったのかなって。
ゲームオーバーって、森川くん言ってたけど、私はどうしてもそう思えなくて……」
「何を根拠に?
俺、別にあれからお前口説いてないし。
お前だって避けてたんじゃねーの?」
「私は……ただ、どうしていいかわからなくて。
前みたいに何もなかったようになんて、できそうもなかったから……」
「…………」
「ただ、怖かったの……」
今も怖くないわけじゃないけど……。
私もちゃんと顔を上げ、森川くんと目を合わせた。
「私は、ゲームオーバーになんてしたくない。
このままじゃ、私は、次になんて全然進めない。
他の人じゃダメなの。
森川くんじゃなきゃ、ダメみたい……」
ちゃんと伝えたかった言葉なのに、ハッキリなんて言えなくて、声が震える。
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