20話。《クリスマス》

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「はやいものね」 「そうだね」 「今年も、一緒に行っていい?」 「もちろん」 僕たちは毎年、クリスマスイヴに墓参りに行く。 春乃のお母さんは、シャンソン歌手をしているので、毎年クリスマスは仕事で忙しい。 春乃にとっても、母親と過ごすクリスマス、で思い浮かべるのは、小さいころの僕の母さんと過ごした時の記憶、だそうだ。 「今年も、お父さんへの挨拶も一緒にしなきゃだね」 「そうだね…」 例年、うちの親父殿といっしょに行くのが恒例だったけど、去年からは春乃とふたりきり。 親父殿のお墓も、もちろん母さんのお墓といっしょだから、春乃にとっては二人に会いに行くことになる。 まぁ、僕にとっては、親父は家にいるから、母さんだけに会いに行くってことになる。 でも、お墓で母さんの声、聞いたことないんだよね。 だけど、命日に訪れると、不思議とそこに母さんがいるような気になる。 みんなもそんなふうに感じたことないかな? それと同じ。 「じゃあ、よろしくね」 「うん」
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