71人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
「はやいものね」
「そうだね」
「今年も、一緒に行っていい?」
「もちろん」
僕たちは毎年、クリスマスイヴに墓参りに行く。
春乃のお母さんは、シャンソン歌手をしているので、毎年クリスマスは仕事で忙しい。
春乃にとっても、母親と過ごすクリスマス、で思い浮かべるのは、小さいころの僕の母さんと過ごした時の記憶、だそうだ。
「今年も、お父さんへの挨拶も一緒にしなきゃだね」
「そうだね…」
例年、うちの親父殿といっしょに行くのが恒例だったけど、去年からは春乃とふたりきり。
親父殿のお墓も、もちろん母さんのお墓といっしょだから、春乃にとっては二人に会いに行くことになる。
まぁ、僕にとっては、親父は家にいるから、母さんだけに会いに行くってことになる。
でも、お墓で母さんの声、聞いたことないんだよね。
だけど、命日に訪れると、不思議とそこに母さんがいるような気になる。
みんなもそんなふうに感じたことないかな?
それと同じ。
「じゃあ、よろしくね」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!