第1章

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『私は教え子の溝口 カンナと確かに性交渉しました』 まるで何者も生存していないかのような静寂に包まれた教室に及川先生の低く通った声が響いた。そしてその3秒後、私はスゥッと息を吐く。及川先生は向かい側の席から私を見た。笑いかけてみたけど、多分うまく私の顔の筋肉は動いていない。 スカートの下の中のパンツはあの日と同じ青色なのに、あの日の先生と私はもうここには居ないのだ。 『認めるのですね?』 『はい』 彼は後ろめたさなんて何もないかのようにはっきりとした口調で返事をする。保護者席からは小さな罵声が飛んできたが、彼らの言葉ごときで及川先生は陥れれない。 『溝口 カンナさん。及川先生に無理矢理性交渉を強要された事に間違いはありませんか?』 『間違ってます』 『え?』 『私は青春を先生に買ってもらったんです』 売春。
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