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痣渓村の赤ちゃんは、近親婚の繰り返しによるせいなのだろうか、全ての子がアザを持って生まれる。
アザは、人によって、濃いアザ、薄いアザ、大きいアザ、小さいアザ様々だった。
ただ、十字アザだけは特殊だった。
【十字のアザを持つ子は村に凶をもたらす】
これは、痣渓村に古くから伝わる言い伝え。
その為、身体に十字のアザを持った子は、5才になると村の神様への生贄にしすることになっている。
今から5年前、痣渓家の長男が、親の反対を押し切って山を降り、下町に働きに出ていった。
数年後、長男は、下町出身の嫁、美知子を連れて帰ってきた。
美知子はすぐに長女を生んだものの、なかなか村に馴染めないまま数年が過ぎた。
そして、また女の子を出産した。次女の手には十字のアザがくっきりとあった。
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