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だが、美知子がずっと赤ん坊の世話をしている。その赤ん坊をさらって殺すことは村人の誰にも抵抗があり出来なかった。
その時、防空壕での事件が起こった。
八重は生贄としての使命を果たした。
村人達は、そう思うことで罪悪感を消していった。
戦後、防空壕跡は立ち入り禁止になり、それから何十年も立ち入る人はいなくなった。
美知子は、八重が殺された日の数日前から里帰りをしていた。
風邪をひいていた長女、京子を下町の実家に預け、次女八重だけを連れて、痣渓家に帰ってくる途中でB29による攻撃を受けた。
八重の祖父である痣渓家の当主、和夫は、家から離れることを拒み、妻、佐知江と一緒に痣渓家に残ったが、2人とも無事だった。
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