頼れる友人

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私の通うこととなる大学は、難関校といわれる大学である。 私には夢などは特になく、とにかくフルートが吹きたくて、吹奏楽に力を入れている学校を探していた。 その際目をつけたのがこの大学だった。 だから実際のところ、学部は二の次で、とにかく一番入りやすいと、法学部へ決めたのだ。 父は勉強に煩かったため、私の進学を喜んでいるようだった。 入学式は一昨日終え、今日からは講義が始まる。 かなりドキドキしつつ、教室へ入り、一番後ろの窓際に座った。 すると、隣から「ここ、いい?」と、声がかかった。 「あ、はい」 すぐ横に座ったのはやや茶色の髪の綺麗な顔をした女子だった。 「一年生?」 私は彼女のそれに「えぇ」と答えた。 「私も、学部は?」 「法学部です」 「一緒、私は伊藤友梨香っていうの。よろしくね」 私も自己紹介しなければ…… 「えっと、こと……」 間違えて旧姓を名のろうとし、「蓮池葉月です」と言ったが変じゃなかったのだろうか。 伝えたあと、もう蓮池の姓を名乗らなければならないと、少し苦しさが胸を襲った。
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