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    「クリスマスの少し前にな、ハルカちゃんと新田が私服で町を歩いてるの見たんだ」  そういえばブクブクした泡の、白い鼻水を出して笑っていたガキはどうした?  今の聞かれたかな、とチラリと左後ろを見たら、ムキになって作っていた自称富士山が砂場に残されたままチビたちはいなくなってた。  強風にあおられ、酔ったオッサンみたくふらつきながら白球を追い掛けてたジャリジャリ頭の野球小坊たちもいなくなっていた。  はぁー、と白い息を吐き、今の誰も聞いてないやろなと見回しながら何気無く背中の空を見上げた。  カーカーと鳴きながら飛んでいるのはカラスとゆーのはわかるんだけど、黒が黒に紛れて何処からカーと言ってんのかさっぱり分からない。  公園に来てから随分時間が過ぎてんじゃねーかよオイと、心の中で突っ込んで正面を見た。  オレンジ・赤・紫。  黒がデカイ顔して待機中。  なんで変わるんだろう、汚い色に。  HOTの缶コーヒーが熱すぎで派手に吹き出したら鼻から逆流した茶色の液体が垂れて来て「錆びた鼻水」と爆笑されてみたり。  上半身を必死に揺さぶりながらこがずに自転車の惰性でどこまで行けるか競争を皆でやってみたり。  そんな俺たちの今日1日のフィニッシュを輝く結晶にした熱い夕焼けが、少しも綺麗に見えない毒々しい闇色に侵食されて行く。  広い空の端っこにて自分の運命を覚悟した夕焼け。最後の力を振り絞りとびっきりの輝くオレンジを発色し反抗しながら理不尽に耐えていた。  みんな帰ってしまっためちゃめちゃ寂しい時間帯じゃないと語れないって、2人きりになるのを待ってまで気を使っていたのかよお前。  どの時間帯でも聞きたくなかった話なんだけどな空気読め。
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