第1章

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綾音と裕太の仲は2年前 綾音は書店に勤務する社員。 一方裕太は出版会社に勤める会社員。 綾音の本屋は本店でもあり、有名芸能人の出版で、サイン会が開催された事で出逢った。 出版会社側の裕太はとたまたまその書店に働いていた綾音。 有名芸能人のサイン会がなければ2人の関係はなかったのかも知れない。 考え方を変えれば、2人の巡り合いは神様のプレゼンかも知れない 綾音も人生のサブライズだと思うほど裕太を大切に、愛を温めていたに違いない 2年も付き合えば、女子は結婚を意識し、また裕太のサプライズ、プロポーズを待ちに待ちに、心待ちをしていたであろう。 お互いに逢える時間が逢える時は、時間を作っていたのだ 裕太が少し優柔不断な性格と時間に無頓着な事は、初めは戸惑っていたが、今は全て受け止める事に成長した それだけ綾音は裕太より惚れていたのかも知れない 裕太の仕事の退社時間もまちまちで、残業でデートもキャンセルなる事も、そんな綾音も全て理解していた 「私だけでも裕太を信用してあげないとね」 何故綾音が裕太にそこまで尽くすのは、綾音の母親を乳癌で、呆気なくこの世から他界し、絶望の淵に立たされた時、裕太は綾音の側に寄り添い、 綾音にたくさん元気をくれた存在だったからだ。 綾音には命の恩人だったのかも知れない 何気なく突然のキッカケで知り合った2人は、亡くなった母親が綾音に最後のサプライズだったのかも知れないと、綾音は母親の生前に出来なかった事を、裕太に愛情で恩返ししたかった。 大切に人を思いやる事はまさに綾音の気持ちである。 二人の出会いは誰も入る隙間さえ入り込めない関係だと綾音は感じていた。 母親が居なくなり、その寂しさを、裕太が埋めてくれた デートで綾音が口にした言葉に、笑顔で返す裕太の言葉は 「はい、必ず綾音を幸せにする事を誓います」 右手を大きく天に届くくらいの高さで、綾音は嬉しかった 何も要らない、裕太がいてくれるだけで・・・ ずっとその言葉を信じる綾香。 「はらべこ」 その顔は子供みたいなあどけない裕太の素直な表現に笑みを浮かべ 的はずれな言葉すら綾音には幸せにだった。 「飯食いに行くとするっか!」 その後の裕太の言葉は 「綾音は素敵で世界一自慢の彼女だよ」 その言葉だけで幸せに 綾音の心が温かく感じた 「裕太ありがとう」 二人は裕太の好む店に消えて行った
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