2/18
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「僕が君を好きだと言ったら、君は笑うだろうか」  僕はそう言うと、そっと目を閉じた。  これは独り言である。  夜はいつも、僕を寂しくさせてくれる。  両親のいない家。  ただ、2人とも夜勤で、僕が朝、学校に行ってから帰ってきて、僕が帰宅すると、すでに仕事に出ている。  ようするに、僕が家にいる時間に家にいないだけだけれども、僕はずっと独りだ。  ただの、それだけだ。  夜は僕の時間だ。僕だけのものだ。  昔から変わらずにそうだから、別に気にしてなかった。  だが、僕の心は、寂しさの色を知ってしまった。  にぎやかなテレビ番組も。  たくさんのファンを沸かせるアーティストの音楽も。  何も、僕に安らぎを与えてはくれない。  僕には好きな人がいる。  だけど、僕は、その子と言葉を交わすことも出来ない。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!